「消えない光」

ブルリフSのcase10ep8に「消えない光」というサブタイトルが付いていました。

さっくりと説明すると、菜々花ときららが自分の思いを強く持つことでイローデッドからアナザースピリットの姿に変身することができた話です。

両者とも強くなりたいという前向きな思いでした。ですので、この場合の「光」とはフラグメントであり、強い思いということになるでしょうか。

「消えない光」とはブルーリフレクション澪の第一話のサブタイトルです。

これは The Smiths の「There is a Light That Never Goes Out」という曲から付けられました。

There Is a Light That Never Goes Out (2011 Remaster) · The Smiths

https://youtu.be/3r-qDvD3F3c?si=jmzT7F7aW7p_uaWg

 

歌詞を抜粋すると、居場所がないからどこかに連れ出してほしい、君の車の助手席で君と死ねたら素晴らしい、というものです。

そして、いざ共に死ぬチャンスが来たと思った瞬間、不思議な恐怖に襲われて何も言えなかった、となります。

それこそが「消えない光」だと歌われています。

歌詞も、タイトルの「That」という抽象的なものから「and it」という具体的なものに変化しています。

死にたいのに死ねなかった、その瞬間が目の前に現れたのに何もできなかった、と表現されています。

生きたいという前向きなものではなく、死ねないという絶望的な光なのでしょう。

 

ブルリフRのエンディングの「最深」も似たような内容を歌っています。

TVアニメ『BLUE REFLECTION RAY/澪』エンディング曲「最深」

https://youtu.be/mP_wg33IYfk?si=3AHDeV0aXT4HJgnK

もう終わってしまえ何もかもが

そう言って切り裂いた写真の中

何もかもを無くした時

最後に縋れるものはそこにだけ

そして最深は、その最後に残った光は自分だけのものであり儚い火であり、大嫌いだし暗くて辛いものだけど、絶望して最後に残ったものだから信じることができる、自分の足元だけは照らすことができる、そうして歩いた足跡が他の誰かの道標になる、と歌っています。

ブルーリフレクション澪の本編にて、1話に登場する白樺都は家族と折り合いが悪い少女です。長男がもてはやされ、トロフィーのもらえない女には価値がないのだと疎外されています。その結果、都は電車に飛び込んで自殺しようとしてしまいます。そんな絶望した都の最後に残ったものは「きらきらした綺麗な石が好き」というものであり、それを好きな自分の価値を認めてほしいと叫ぶことでした。これが「消えない光」です。

平原美弦は自殺した陽桜莉をループ後の世界で救うため奔走する少女です。そのために全てを犠牲にするつもりでしたが、元バディのモモを1周目の陽桜莉と同じ日に死なせてしまってもフラグメントのカケラを隠し持っていたり、生贄にするつもりの仁菜の傷を心配したりと、思いを完全に切り捨てることのできない少しズルいキャラクターです。

陽桜莉が死ぬという最大の絶望を前にしても、他の大切なものを捨てることができない。これが美弦の「消えない光」です。

水崎紫乃というキャラクターは絶望のあまり1周目の世界は自殺を遂げてしまいました。光がなかったのです。

優生思想や自己責任論などの混じった教義を説く宗教のフロントマンとして利用され、聖痕写真集などという商品で消費され、挙句には双子の片割れを殺されました。この事件に世界は何ら無関心でした。最も弱い者は紫乃と加乃でした。

そして2周目では世界中の人間の思いを管理することで復讐を果たそうとします。思い=フラグメントがなくなることは死を意味します。全員死ねということです。

けれど捨てたはずの思いに触れ、「私はただ、私でいたい」という率直な思いを取り戻しました。紫乃は復讐がしたかったのではなく、これが「消えない光」でした。

 

そしてこのたびブルリフSの最新話に「消えない光」とのサブタイトルがつけられました。この光とは前向きな思いです。

5月30日にはサービス終了します。