WOWOWでみた。なんかすごかった。
郊外の静かな湖畔に立つ邸宅。双子の兄弟、エリアスとルーカスのもとに、唯一の肉親である母親が戻ってくる。だが、整形手術を受けた彼女は顔中を包帯でぐるぐる巻きにし、決して取ろうとしない。さらには以前とは打って変わったようにヒステリックになり、ついにはエリアスにルーカスと遊ぶなとまで言い放つほどだった。やがて兄弟は、もしやあの女性は母とは別人ではないかと疑い、本物かどうか確かめようとするのだが……。
双子の片割れが、死んでいるのか幻覚のなのかは知らないが、いないのだろうなということはすぐに見当がついて、しばらくはミスリードを確認するためにストーリーを追うという見方をしてしまっていた。
だが描かれるのは双子のかけがえのない幸せな日々ばかりであり、ミスリードさせようなどという意図はないかのように双子の片割れは実はいないんじゃないのかということを裏付ける描写が続く。
我が子の気が触れてしまい、夫と子供を失って間もないという心の傷を癒す間もなく生き残った子供に抉られているなら虐待も納得してしまう。
ここまで淡々と描くなら、むしろそれがミスリードなのではないのだろうか、実は子供は二人とも存在していて母親に異常があるのでは、むしろ母親は実在しているのか? などと裏読みしてしまったりした。
だが、この映画はそんな小手先でくすぐるような真似はしてこなかった。
信頼すべき大人に裏切られて逃げ場を失った子供が母親を拷問するという流れではじめて、ああそういうタイプのホラーだったのかと気づかされる。
ファニーゲームっぽい映画だよという紹介だったらまた違っただろうけど、それはそれで今感じているような衝撃もなかっただろうし、これはこれでいいのかな。
あと双子の顔がとてもよかった。怒りと嘲りを象徴するかのようなあの表情をみるたび心がかき乱された。効果としては抜群だった。
原題は「Ich seh ich seh」。
どういう意味なんだろう。いないいないばあみたいなことなのかな。