ブルリフR 物語後の美弦とモモについての推察

ブルリフRがニコ生とAT-Xで一挙放送されているということで、最後に退場した美弦について考えてみました。

物語の最後に美弦は姿を消しましたが、それは何故なのでしょうか。そして、バディであるところのモモはどうするのでしょうか。
物語は最後に謎を残して終わりました。
公式に語られていない部分ですので、ブルリフR本編中のモチーフなどを元に推察します。


ブルーリフレクション澪は、少女たちの孤独をテーマにした物語でした。
少女たちの孤独は誰一人として同じものはありませんでしたが、そんな少女たちはどこか、誰かと似た思いを抱いていました。名前の文字や音の響き、見た目などに類似点が持たされているのは、少女たちの類似性を表しているのでしょう。

モモと美弦の関係性を推察するに当たり、作中から類似する二人を選ぶとすると、仁菜と望の関係が適切かと思います。
ここで比較する根拠としては、モモと仁菜はどちらも、自分の思いが届かなかったタイミングでフラグメントを自壊させているからです。

ここでいうモモの思いとは、美弦の大切なもの(陽桜莉)を守るというものでしたが、モモの力至らず、美弦自らの手で陽桜莉のフラグメントを抜くという決断を止めることができませんでした。
結果としてモモが胸に手を突っ込まれましたが、モモが庇わなければ陽桜莉が犠牲になっていたでしょう。
このとき、美弦は手を突っ込んだだけで、モモのフラグメントを抜いてはいません。
モモの思いが砕けた=フラグメントが割れたのです。

一方、仁菜ですが、こちらは望の姿をしたクリスタル少女が胸からフラグメントを抜いて現れるという演出になっています。
美弦のためにフラグメントを抜いて集めた仁菜ですが、フラグメントを抜くことの罪を知り、その挙句に美弦を手に入れることもできませんでした。
仁菜の絶望とはそもそも望を失ったところからでしたが、望の代わりに美弦を慕うことで胸の穴を埋めていたのでした。
クリスタル少女の「私は何番目の望?」というセリフは、単純に考えれば「誰でも良かったの?」と詰めるものであり、望に似たこの少女は仁菜の内から現れているので、美弦を失って望に戻ることもできないという、仁菜自身の甘えた思いからのものなのでしょう。罪に手を染めた今では、望を求めることすら許されません。
ですので、シーンの意味としては美弦と望を同時に失った=自分の思いが届かなかった、いうことになるのかと思います。
自壊とは少し違いますが、自らのフラグメントを手放したということでモモとの類似点とします。

次に、美弦が立ち去った理由についてなんですが、これにはブルリフTにその答えの一端がありまして、けれどここではその理由は採用しないこととします。
ブルリフTで明かされた答えとは、美弦はフラグメントを失っているため、陽桜莉のフラグメントに依存することで存在を維持しているというものです。そして自分のフラグメントに美弦を宿した陽桜莉は二本の剣で戦います。
このことから、美弦の失った思いとは陽桜莉の思いで代用できるものだということになります。二人に共通する最も強い思いといえば、お互いを思い合う気持ちでしょう。
ですので、美弦が失った思いとは、『陽桜莉への思い』ということになるかと思います。
これをブルリフRに当てはめると、陽桜莉への思いがなくなったために、陽桜莉をはじめとした皆の元から立ち去ったということになりますが、ブルリフRの物語を考えると、紫乃に対し自分の思いごと体当たりして砕け散ってでも伝えたい思いがあった美弦なのに、そのとき美弦が手にしていた思い=フラグメントが「陽桜莉が大切」というものであったと考えると少し矛盾してしまうように感じます。
ですので、ここではその理由は採用しないこととしました。

美弦が立ち去った理由に戻ります。
自分の意志で立ち去った大切な人、という類似点で対比できるキャラクターとしては、望になるのかと思います。
ですので望の動機と仁菜の選択をモモと美弦の関係と対比することで、その後の二人のことを推察する手がかりにしていきます。

まず望の周縁についてですが、望は未成年の家出少女であり、売春で生計を立てています。日本では保証人なしでアパートを借りることはまずできませんし、望部屋という名前からもわかる通り、望の住んでいる部屋は成人している誰かから又借りしているのでしょう。このことから望はチームに所属する少女であり、個人売春ではなく援デリの一員なのだとわかります。
望の他にボスとして咲希という少女が登場しますが、おそらくこの少女が援デリ部隊のリーダーなのでしょう。大人の登場しない(登場しても顔が隠されている)作品なので、咲希もまた未成年である可能性が高いです。咲希のそばにいる男は打ち子と呼ばれる客引きかケツモチのヤクザなのでしょう。
家出少女とは社会的弱者であり、仁菜をはじめとする少女たちにもあり得たかもしれない姿です。
街で個人売春できるはずもなく、見つかり次第組織に組み込まれるでしょうし、基本的には使い捨てにされてしまう存在です。ですが望は住む家を与えられ(家賃は多く取られるでしょうが)、電話を持たされ、生活にもある程度の自由があるように見えます。家出した未成年の少女の問題は住むところとお金の問題が大半なので、望の暮らしは他の少女に比べるとかなり恵まれています。
そうなると、咲希は援デリ部隊で金を稼ぐことが目的だとは考えにくくなります。なにせ家出した少女の住むところなど無視すればいいのですから。それに、いざ何かあったときに家があると厄介です。
ですので、咲希には咲希なりのやり方で少女を保護していたんじゃないのかと推察することができます。
ちなみにですが、咲希に逆らった少女が臓器売買の被害者になったというエピソードが語られますが、武勇伝のひとつとしてあり得そうではありますが、部屋に家出少女を一人匿ったところで殺されるというほどのケジメは取らされないと思います。そうでないと、そもそも部屋を貸すなという話になりますし。

ですので、おそらく望は世界のどこかで生きているのでしょう。望が仁菜の前から姿を消したのは、咲希に殺されたのではなく、自分の意志で出て行ったということなのだと思います。
望は援デリをやめて風俗嬢になったのかもしれませんし、もしかしたら家に帰ったのかもしれません。どちらにせよ、望の新天地に仁菜を連れて行くわけにはいきません。仁菜が望とそれだけの関係を築くことができなかったということでもありますし、築けていたとしても当時の仁菜が食い扶持を稼ぐのは難しいでしょう。

望が姿を消し、仁菜は殺意を持って咲希に向かっていきました。真偽不明の噂を手がかりに、望を探すのではなく、自分の怒りをぶちまけるためにです。仁菜は幼い子供同然でした。そんな仁菜の心根のことをよく分かっていたからこそ、望は黙って姿を消したのかもしれません。

では美弦の立ち去った理由はどうでしょう。
フラグメントを抜いて回った罪を被って?
もはやリフレクターは必要ないと考えたから?
おそらく美弦の動機は意図的に伏せられていて、どのようにでも考えられるからこそ『わからない』ことが大事なのでしょう。
仁菜は子供なので、『わからない』ことを咲希のせいにして殺意をたぎらせました。咲希はスケープゴートにされたのです。SNSでもよく見る光景です。
では、美弦に置き去りにされたモモはどうすると考えられるでしょう。

現在、良くも悪くも登場人物全員を繋ぐきっかけとなった美弦にだけ新しい世界がありません。記憶を持ち越している美弦にとってモモですら新しい世界ではありません。依存する関係は作中でことごとく否定されています。
ですので、モモは美弦を『探さない』というのが物語の解になるのかなと思います。
モモの強い思いとは、美弦の大切なものを守るということですので、モモがするべきは陽桜莉と仁菜と紫乃の保護及び詩の監視ということになるのでしょう。
(美弦が暴走を繰り返す詩と仁菜を仲間に選んでいるということは、なんとかして助けたかったからでしょうし)

美弦は名前の通り澪で航跡でありRAY=灯台の光なので、物語を通じて自分の力で前に進み始めた登場人物たちにとって先導するものはもはや必要ないということになります。
美弦の真意は明かされませんが、ここから先は自らの足で歩き始めた者たちの物語だという意味なのでしょう。
綺麗な終わり方だと思います。
文芸作品的でもありますね。

モモと美弦はこれからどうなるのでしょうか。
物語から類推すると、モモや陽桜莉や仁菜にとって美弦が本当に必要なくなったとき、再び巡り合えるように思えます。美弦にとっても同様で、陽桜莉やモモが必要なくなり、自分がいなくてはならないという呪縛から解き放たれた時、ふたたび美弦の物語が始まるのかもしれませんね。

ブルーリフレクション澪 21話の感想

話数単位で打ち出される小テーマが今回は瑠夏の視点に立つとすっきりして見えると思うので、瑠夏に寄り添った視点で感想を書きました。

今回の小テーマは、「自分の思いを殺さずに、大切にすることが大事」ということで、原作ブルリフでいう麻央の思い「私は私を“殺”さない」ということになるのかと思います。

  • 瑠夏
    • 美弦
    • 瑠夏
    • 都と仁菜
    • 美弦の思い
  • ブルリフジョーク
  • 白井日菜子と白樺都
  • 最深

 

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ブルーリフレクション澪 18話までの感想

現在18話まで放送され明日の19話の放送を待つばかりなのですが、答えを知る前の現在の感想を残しておきたく、何より自分の中で抱えきれなくなったものを吐き出さずにはいられなくなったので感想を書きました。

  • 都の部屋の位置について
  • 般若心経から見た設定
  • 澪という言葉
  • 皇亜未琉と橘涼楓
  • 水崎紫乃という少女

 

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ブルーリフレクション澪 18話に関しての感想

ブルーリフレクション澪18話で気になるシーンがありました。

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このシーンです。

シーンの意図についてあれこれ考えを巡らしているうちに、
「陽桜莉が見ているものは、昼間では見えない星で、夏の大三角を構成する織姫と彦星なのではないか?」
という考えに至りました。

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ブルーリフレクション澪 次回予告とサブタイトルのメモ

サブタイトルの元ネタとなったであろう曲のリンクと、陽桜莉の次回予告のセリフをまとめたエントリです。

多くなってきたのでメモしておこうと思いまして。(随時更新)

  • 01話「消えない光」「その想いは、その人だけのものだから」
  • 02話「友、1人もなく」「都ちゃんと急接近」
  • 03話「本心隠して」「リフレクター大集合」
  • 04話「ないものねだり」「私たちってダメダメ!?」
  • 05話「何もみえないわたし」「都ちゃん大活躍!」
  • 06話「心に茨を持つ少女」「ニーナちゃんがいっぱい」
  • 07話「お願いだから欲しいものを手に入れさせて」「お願いだから欲しいものを手に入れさせて」
  • 08話「パニック」「二人でまた一歩」
  • 09話「彼女の言ったこと」「お姉ちゃんたちの秘密!?」
  • 10話「墓を掘る美しい娘たち」「信じる思い」
  • 11話「わたしに有罪宣告を」「モモさんの熱い戦い」
  • 12話「最深」「お姉ちゃん大好きだよ」
  • 13話「サム・ガールズ」「新たなリフレクター!?」
  • 14話「言葉をなくした目撃者」「小鹿ちゃんの決意」
  • 15話「仲良くつるんで」「季節はずれの大掃除」
  • 16話「ラバー・リング」「それぞれの選ぶ道」
  • 17話「エンジェル・エンジェル」「お姉ちゃんの思い」
  • 18話「セメタリー・ゲート」「迷いの先」
  • 19話「見つけた、見つけた、見つけたよ」「開かれた扉」
  • 20話「ギロチンのマーガレット」「紫乃ちゃんとお姉ちゃん」
  • 21話「まだ何もものにしていないよ」「消えていく思い」
  • 22話「となりあわせの死」「お姉ちゃんの決意」
  • 23話「すべてを手にしたきみ」「みんなの思い」
  • 24話「ブルー・リフレクション」「最終回!見てね!」
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