ブルーリフレクション澪 3話までの感想

ブルーリフレクション澪を4話まで見たところ、とてもおもしろかったので感想を書きました。章の区切りが良いのが3話なので、そこまでの感想になります。

 

 

平原陽桜莉

平原陽桜莉は両親に先立たれ、姉と二人で生きてきた少女だ。
陽桜莉は守りたいという思いを躊躇わない。これが彼女の本質だ。だから簡単にリフレクターになれてしまう。では彼女自身の守りたいものとは何だろうか。

リフレクターは思いを守るものだと知った陽桜莉は、同じように指輪が反応した瑠夏を仲間に誘う。陽桜莉が招いた姉と二人で過ごしたアパートの部屋は、今では人気はなくなりガスも止まっている。共有の机と幼い字で書かれたネームシールの貼られた棚はかつて仲良く暮らしていた姉妹の名残だ。時が止まったまま保存された部屋で陽桜莉と瑠夏は保存食を食べる。食事には仲間という意味があり、流れる劇伴は「Blue Reflection」。原作のテーマ曲だ。だが瑠夏は箸を置いてしまう。劇伴も途絶える。

画像1

続いて陽桜莉は屋上へ誘う。暗い夜の中、降り止まない雨は陽桜莉にとって姉のいない日常そのものだ。だが雨の叩く音は日常を煌めいた音楽に変え、暗闇には夜景が青い宝石のように輝く。

画像2

アパートが象徴する青く響く姉との美しい記憶。陽桜莉はこの記憶を守りたい。これが陽桜莉にとっての強い思いだ。だがその思いは瑠夏には届かない。

羽成瑠夏

羽成瑠夏は他人との間に距離を持ち、その差を埋める必要はないと考えている。これが彼女の本質だ。だがその本質のせいでトラウマを抱えてしまうことになる。

中庭でひとり孤独に泣いている名前も知らない少女、瑠夏はその少女の心の痛みにずっと気付いていた。けれど瑠夏は自分に言い訳をして見て見ぬ振りをし、その結果、永遠に取り返せない過ちを犯してしまった。少女を助けるにはその瞬間しかなかったのだ。瑠夏は後悔しているが、どうしていいかわからない。寮長や同級生の好意にも気付けないし、都の異変に気付いても声を掛ければいいということにさえ自分では気付くことができない。都のフラグメントが今まさに奪われようとしているのに、陽桜莉が傷ついているのに、フラグメントを通じて都の苦しみが心にダイレクトに伝わってくるのに、それでもなお手を伸ばすことができない。

画像3

瑠夏はそんな自分が嫌いだ。助けるために手を伸ばせる自分に変わりたがっている。これが瑠夏にとっての強い思いだ。かくして強い思いを自覚した瑠夏は晴れてリフレクターになることができた。

画像12

人の気持ちも謎味ジュースも飲んでみなければわからないのだ。

白樺都

白樺都はキラキラとした可愛いものが好きだ。これが彼女の本質だ。だがその本質にトロフィーが与えられることはなく、家族は見向きもしない。都のお気に入りのスマホケースも友人はそこに親の財力を見てしまう。誰も都自身を見てくれない。

だがそんなことは平原陽桜莉には関係ない。伸ばしてもいない手を掴んで強引に助けてしまう。

画像12

瑠夏に対しての都はあえて無視するような態度を見せたり、出会いのきっかけとなったケースの反射で目潰しをしてみたり、ようやく話しかけても嫌味混じりで不器用にアプローチする。これは都が瑠夏に向かって伸ばした手だ。いうまでもなく都は瑠夏にとって中庭の少女だ。だが瑠夏は手を伸ばせない。

画像5

そして都が電車に飛び込む寸前、変わりたいと強く願う瑠夏の伸ばした手と陽桜莉の手が都に差し出され、都も私を見て欲しいという強い思いを叫ぶことができた。壊れたスマホケースは二人の手によって修繕され、星があしらわれた。このスマホケースは都にとってのリフレクターの衣装だ。都は一度死んで生まれ変わった。こうして三人の絆は生まれた。

画像8

陽桜莉にとってオルゴールはバラの棘の中に隠した思いだ。陽桜莉は瑠夏と心を通わせたことで姉の写真とオルゴールを寮に持ち込むことができた。もう保存された部屋でひとり学校を休んで姉の記憶に耽らなくてもよいのだ。次からは瑠夏に相談すればいい。

画像8

都には今や本当の自分を見てくれた陽桜莉と瑠夏がいる。自分の好きなもので飾った写真立てからは家族の姿は消えた。写真立ては空席だ。

画像8

こうして彼女たち三人の人生は今はじまった。

ブルーリフレクション澪は3話使ってこのような物語を紡いだ。エピソードが緻密に組み立てられ、登場人物全員の心が描かれている。まだ未熟な少女たちが自分らしさを知り、強く輝いていく物語なのだろう。これが3話まで見た私の感想だ。

余談

本作にはタイトルの「Blue Reflection」にちなんでか、それらしいモチーフが散りばめられている。オルゴールの中の宝石や都のスマホケースなど、きらきらとしたものや反射するものが用いられている。夜景の青い光や劇伴などもそうだ。本作にはこのように「青」や「星」にちなんだものが本当に多い。

たとえば瑠夏の立ち寄った福星書店だが、青い袋に星がプリントされている。百の服も星柄のものが多い。Tシャツの柄にある蜜柑のヘタが星形だと気付いたときには思わず笑ってしまった。柑橘系の柄なのはユズとライムが青い果実であることと関係はあるのだろうか。

画像9

ほかにアパートで食べる鯖缶だが、サバは光り物の青魚だし、魚偏に青と書くので採用されたのだろう。そんなモチーフの使い方があるのか。それでいいのかブルーリフレクション?

画像11

ゲームセンター前で陽桜莉が百と待ち合わせるシーンは、雨の中を歩く夜の仁菜と詩との対比になっていて、二者のスタンスを時間帯と天気、水たまりに映り込むネオンの反射で異なるものだと端的に描いたシーンがある。雨は陽桜莉のアパート、瑠夏の中庭、都の帰路に降っていて、仁菜と詩にとっても同じ意味を持つのだろう。
このとき仁菜が踏みつける水たまりに映り込んでいるのがGAMEの「AME」という文字なのだ。雨だ。AME。文字で直接伝えているのだ。ふざけているのかブルーリフレクション?
なんだかちょっと笑ってしまう。

画像11

本作には原作要素も多い。原種ネツァクや日菜子と麻央の関係をなぞるような展開は原作をプレイした人なら当然ご存知のことだろう。都のスマホケースだが、思い出すのは千紘が日菜子にプレゼントするエピソードだ。
登場人物たち、特に麻央の心を直接説明するのではなく、行動や引き込まれるゾーン、得られるフラグメントなどから推察させる話運びも似ている。
共鳴も日菜子と麻央の相容れない二者が根底に同じ思いを抱えていると知ったときに現れるもので、本作の共鳴はその部分を拾い上げているように思う。
原作要素もふんだんに盛り込まれているので、それを探すのも楽しい。

全24話中まだ4話しか放映されていないのでテーマも展開もまったくわからない状態だが、伏線も大量に張られていて、とにかく先を期待してしまう作品だ。